誰にも言えない秘密の恋をしました       (君にこの唄を捧ぐ)
「えっ?お友達、大丈夫ですか?
お礼を言いたかったです…。」
心菜は残念そうな顔をする。

「友達じゃ無い。単なる知り合いだ。アイツに関わるとろくな事無いから、気にしなくていい。」

俺は心菜をダイニングに連れて行き、何事も無かったように椅子に座らせ、パンケーキとフレンチトーストを並べ、フォークとナイフ、飲み物を用意する。

「温かいうちに食べな。俺は残った物でいい。」

「じゃあ、半分ずつ一緒に食べましょ。」
俺も向かいに座って心菜が食べるのを見つめる。

いつも幸せそうに食べる心菜の顔が好きだ。

「美味しいか?」
美味しそうな笑顔につられて微笑みながら聞いてみる。

「美味しいです。ほっぺたが落ちそう。」

なるほど。その言葉はこう言う時に使うのか。と、冷静にそう思いながら一緒に笑う。

彼女の笑顔は不思議と周りも幸せにする。

俺はその虜でその笑顔が見たくて、その為なら何でもしてあげたいと、思ってしまうほどの溺れようだ。

龍二がそれを知ったら驚くか…呆れるかだな。

「心菜、ツアーが終わったら少しまとまった休みがある。年末辺り空けといて欲しいけど。心菜はそんな休み無いよな?」

「ちょっと確認してみます。多分お正月の3日間だけかもしれません。なんせ救急はお正月ほど忙しいって看護師長が言ってたので…。」

そうだよな…。
どこか旅行とか行けないかと思ったが無理そうだ…。

「蓮さんは年末の歌番組は出ないんですか?」
心菜が何気なく聞いてくる。

「紅白は辞退したけど、裏番組は出ないといけない。」

「TVは出たくないんですか?」

「正月くらい心菜とのんびりしたかった。」

不貞腐れたように言う俺を心菜は可笑しそうに笑う。

「多分、お正月期間はヘルプの看護師も入るので、シフト時間も短くなるし定時で帰れると思います。」

じゃあ、全てのプライベート時間は俺と…そう言いたいがそこは抑える。

心菜にだって自由な時間は必要だ。家族に会いたいだろうし、友達とだって遊びたいはずだ。

独占欲丸出しにして、心菜に引かれたら辛い。
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