誰にも言えない秘密の恋をしました       (この唄を君に捧ぐ)
(蓮side)

噛み締めながら、最後の5日間を心菜と過ごす。

どんな姿も目に焼き付けようと、必要以上に心菜を目で追ってしまう。

どんな仕草もいちいち可愛くて、揶揄うと怒ったり、はにかんだり、笑ったり、コロコロ変わる表情に目を奪われる。

夜が1日終わるたび寂しさが募る。

心菜のせいで色付き出した俺の世界は、この先どう変わって行くのだろうか…。

虚しさと切なさを握りしめて、彼女の幸せだけを願う。

最後の日、
心菜とあの屋上のベンチで2人並んで夕焼けを見た。

こんな日だって、夕焼けで染まった街は綺麗に輝いていて、余計に離れ難くなる。

「まだ、週一で検診に来るんですよね。
その時、また会えるといいんですけど…
救急外来は忙しいところなので、多分会う事は難しいと思います。
忘れずに検診来て下さいね。」

「ああ。」

「あと、これ。大したものじゃ無いんですけど、お誕生日が近いってネットのニュースで知ったので…。
ちょっと早いですけど、お誕生日プレゼントと退院祝いを兼ねてです。」

そう言って、綺麗にラッピングされた細長い箱を、心菜が恥ずかしそうに差し出してくる。
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