仮面夫婦を望んだ冷徹な若社長は妻にだけ惚けるような愛を注ぐ。【逃亡不可避な溺愛シリーズ1】
「だって、ほら。雑誌が売れれば、市原ホールディングスの業績もさらに伸びるかもしれない。そうなれば、両方にとってメリットがあるんじゃないかな……って」

 こんなこと、ド素人考えだ。だから、上手くいく可能性なんてゼロに等しいだろう。

 が、麗美は目からうろこといったような表情を浮かべていた。

「そっか。そうだよね! うん、芽惟、ありがとう!」

 手を掴まれて、ぶんぶんと上下に振られる。

「いやぁ、持つべきはいい友人だね。後で、いい報告が出来たらするわ!」
「……うん、楽しみにしてる」

 別に、この報告に関しては必要ないんだけれど。

 心の中でそう思うが、口が裂けてもそんなこと言えるわけがない。

 芽惟は、そう思うことしか出来なかった。
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