仮面夫婦を望んだ冷徹な若社長は妻にだけ惚けるような愛を注ぐ。【逃亡不可避な溺愛シリーズ1】
「取材の前にそれを言ってみたら、敦也社長も納得してくれたらしくて。ある程度プライベートなことを聞けたの!」
「……そう」
「だからもう大成功!」

 麗美が大きく手を挙げて、そう言う。

 言った本人である芽惟は特に何とも思っていないが、麗美が喜んでいるのならばそれでいいか……という考えだった。

「だから、芽惟にお礼がしたかったの!」
「……いや、それくらいで」

 さすがに大げさすぎるだろう。

 心の中で芽惟がそう思っていると、麗美はぶんぶんと首を横に振る。

「後はまぁ、ちょっとした? ご用事が? ありまして?」
「……いや、どういうことよ」

 到着したカフェモカを口に運びつつ、芽惟は眉を顰める。麗美の態度は、なんだかはっきりとしない。

 不気味だと思った。
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