仮面夫婦を望んだ冷徹な若社長は妻にだけ惚けるような愛を注ぐ。【逃亡不可避な溺愛シリーズ1】
 昨夜彼と話していて、彼は夜通し仕事をすることも普通にあると言っていた。……正直、倒れないか心配なところもある。

(って、深入りはしない契約よ。……私は、敦也さんの邪魔にならない存在にならなくちゃ)

 心の中でそう呟いてリビングの扉を開ければ、ダイニングテーブルの目の前に腰掛ける敦也がいた。

 彼はなんてことない風にノートパソコンで作業をしている。……その側には、仕事用なのかスマホが三台。

(し、仕事のレベルが違う……)

 なんだか、これを見ていると彼はザ・出来る男といったようにも見えてしまう。いや、実際そうなのだろうが。

「……あぁ、芽惟さん。おはようございます」

 彼が芽惟に気が付いたらしく、淡々とそう言ってくる。なので、芽惟もハッとして頭を下げる。

「おはよう、ございます」
「昨夜はよく眠れましたか?」

 彼はすぐにパソコン画面に視線を戻して、そう問いかけてきた。

 よく眠れたか、眠れなかったか。どちらかといえば――。

「はい、ぐっすり眠れました。……寝具が、よかったので」

 ふかふかのマットレス。肌触りの良すぎる掛布団。枕も低反発のいいものだった。

 ……正直、昨日の疲れは一晩できれいに取り払えたようにも思えてしまうほどだ。

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