Fortunate Link―ツキの守り手―




「シュンッッッ!!!」



悲鳴のような怒号が辺りに響き渡った。

凄まじく怒っているようでいて、なのに悲痛に響いて。


この声は……。

アカツキだ。

間違いない。


近づいてくる気配をわずかに感じる。


けれど顔は見えない。

どこに居るんだ。

くそ。

見えない。

見えないなんて。


今。

猛烈にあの顔が見たいと思っているのに。


代わりに見えたのは空。

まだ日は高かかったはずなのに、じわじわとくすんでいく空。

白が藍に溶けるように侵食されていく。


コマ送りのような速度で日が移動し、地平線に沈み、夕闇はすぐそこまでせまろうとしていて。



悔しくて腕を伸ばす。

倒れいくなか、宙に伸ばされた手は何も掴まない。



「シュン!!!!」


もう一度聞こえたそのアカツキの叫びを最後に。




世界は暗転。

反転した。


☆::::第15話へ続く:::::☆


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