水の国の王子様は従者を溺愛中!


カイルの方をチラッと見るとカイルは家の方を向いたままでその人を見ようとしない。

きっと高貴の方で、カイル知ってる人なのかもしれない。
私が対応しなくちゃ…

「…あ……はい………ここに住んでいて…」

その人は両親の名前が書かれた紙を見て私にお辞儀をする。

「それは…お気の毒に……お悔やみ申し上げます。貴方は襲撃を逃れられたのですね?」

そう言って私とカイルを見る。

「は、はい…なんとか……すいません、命からがら逃げる事が出来たのですが…兄…兄はその時に怪我を負ってしまい、それに加えて両親の事がショックで今は口が聞けないのです…」

こんな即興の嘘吐いた事ないからちゃんと言えてるのかわからないけど…

「……そうだったのですね。宜しければこちらの花をお供えにお使い下さい」

「え…でも…」

「ちょうど花を供えて回っているところでしたので、お気になさらずにどうぞ」

その人はお供え用の花をくれた。

「ありがとうございます…」

「これからまたアヴァンカルドへ向かわれるのですか?」

「はい…」

「アヴァンカルドは現在雪が降りやまず、気温も低いです。その格好では凍えてしまう…この先の広場で暖かいスープと防寒具の配給も行っておりますので、この後行かれてみてください」

「ご親切にありがとうございます……えっと…せめてお名前を…」

するとその人は優しく微笑んだ。

「名乗るほどの者ではございません…この先、道中お気を付けて。アヴァンカルドではアクアヴェールから難を逃れた方々への支援も行っておりますので、是非王都へもいらしてください……それではまたお会い出来る時を楽しみにしております」

私と顔を向けないカイルの背中に会釈をして行ってしまった。

…何だか色んな意味で緊張した。
アヴァンカルド王国の王族の方だったのかな?


「お花頂いちゃった…お供えさせてもらおう」

「うん…」

他のお花に加えて家の前にお花をお供えしてもう一度手を合わせた。

「……さっきの人アヴァンカルドの王族の方かな?何か勇ましい感じで格好良かったなぁ」

そう言うと、カイルは私の肩に腕を回して引き寄せる。

「男らしい方がタイプ?」

「えっ違うよっ…私のタイプはカイルだよ」

「ふ…それなら良かった」

「…顔隠してたって事は知ってる人?」

「あぁ…アヴァンカルド王国の今の国王のダニエル国王だよ」

「エ!?アヴァンカルドの国王様あんなにお若いの?」

しかも、こんな崩壊したアクアヴェールの町をお一人で回られてるなんて…

「俺と同じ歳だから子供の頃から仲良かったんだ…だから顔見せられなかった。ダニエルは昔から良い奴で親友だったんだ」

「そっか…折角会えたのに話せないなんて…」

「もう王族の俺はいないからいいんだ。配給してるっていう物資貰っていこう。頼れる物は頼らないとな」

私達は広場へと向かった。
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