水の国の王子様は従者を溺愛中!
広場へ着くと、アヴァンカルドから来たと思われる遺族や何とか難を逃れて怪我をしている人、家族と再会している人などが結構いて配給の他にも町中のご遺体の回収後の遺体安置場所やアヴァンカルドへ移動した避難民情報の案内をしている。
まずは配給されている暖かいスープを貰う事にした。
「はぁ…暖かくて美味しい…」
「そうだね、アヴァンカルド王国がここまでやつてくれるなんて…ありがたいよ。食べたらご両親のご遺体の場所確認して安置場所行こうか」
「…ううん、もうお別れは済んだから…でも、お兄ちゃんの事だけ聞きにいってもいい?」
「……あぁ、もちろんだよ」
「カイルの御家族とのお別れは…?」
小さい声でこっそり聞くとカイルは耳打ちをして応える。
「恐らくしばらくしたら王族は別で埋葬されて王族の墓地に移されると思うから…いつか生活が落ち着いたらお墓参りに行くよ。その時はリディアのご両親のお墓も一緒に回ろう」
「うん…」
スープを飲み終えて、案内を聞きに行くとお兄ちゃんはブルゾン家から仕事をもらいそこで暮らしているとの事だった。
きっとあの日先に行ってたんだ。
お兄ちゃんが惨劇に巻き込まれなくて良かった…。
「王都より東方面へ行かれる方~!この馬車はイーストウッドの町まで行きますので乗っていってくださいー!」
物資の支援をし終えた馬車は戻る際に同じ方面に向かう人を乗せてくれているみたいで私達は急いでその馬車に乗り込んだ。
遺体の安置所も王都の方面にあるからかこっち方面に乗る人は私達以外には居ないようだった。
「あんた達はイーストウッドで住むところ見つかったのかい?あの町は親戚でもいない限り受け入れしてもらえないって聞いたけど」
「いえ…その先のローティシアの町へ向かおうかと」
馬車にはカイルの事を知ってそうな人はいないみたいでカイルは顔を覆っていた布を取りながら応えた。
「ローティシアだって?あんな小さい村に?まぁ、あそこなら小さい村なのに近くに滝の名所があって観光客多いから人手欲しいだろうし、難民は受け入れて貰えると思うけどなぁ…難民の受け入れ先期待出来ないぞ?お兄さん綺麗な顔してるし、王都の方行った方が良い受け入れ先や仕事貰えるんじゃないか?」
「…」
「分かった、二人ワケありかー?」
冗談っぽくそう言われてドキッとしてしまった。
「えっと……そのー……」
動揺して上手く応えられない…
「鋭いですね、実は彼女婚約が決まってたところでしたが…俺がどうしても彼女と一緒になりたくて騒ぎに乗じて…ってところです」
「おーおーおー!駆け落ちだったか!兄ちゃんやるねぇ?こんな良い男に惚れられたら姉ちゃんも着いて行っちゃうよなぁ!」
「うぁ……えっと…はい…」
「しかし…兄ちゃんかなりの美形だし、貴族とか王族だったんじゃないか?アクアヴェールの王族ってかなりの美形だって聞いた事があるんだが…」
「アクアヴェールの王族は誰も残らなかったって聞きました…ほら、だってこんな私みたいな一般人の普通の女と駆け落ちしちゃう貴族や王族なんていませんよ!」
「何言ってるんだよ?リディアは世界一可愛いだろ」
「んなっ!?」
「ハッハッハッ!そうだそうだ、姉ちゃんも充分可愛いな!見せつけてくれるなぁ…しかし、アクアヴェールの王族は気の毒だったなぁ…アヴァンカルドに嫁いで来た王族までも突然の襲撃でなぁ。この酷い雪もその影響らしいぞ」
そう言われて窓の外を見るとすごい吹雪だ。
馬車が無ければイーストウッドの町まで行けなかったかも…