水の国の王子様は従者を溺愛中!
正直、リディアと恋人になる前までは恋人達が一緒に居たがる事がよくわからなかった。
身近な弟のブライアンがしょっちゅう女の子連れて歩いたり、夜を共に過ごしていたりしていたけどその良さは分からなかった。
何処かの貴族や王族と政略結婚する事になれば同じ寝室で寝る事になったら休まらないなとすら思っていた。
でも本当に好きな人が出来てやっとわかった。
リディアとくっ付いてる時間か幸せで仕方ないし、常に一緒に居たいとまで思うようになった。
でも、今はここに身を置かせて貰う身だから仕事とちゃんと切り替えないといけないけど。
「それじゃあ、俺は仕事まだ残ってるから行くぞ」
「僕にもやれる事やらせてください」
「あのっ…私も!」
「明日からで良いって言ってんのに仕事熱心だなぁ、それじゃあカイルは食堂の掃除頼むよ。リディアちゃんはまだ足治ってないからちゃんと治しな」
そう言われるとリディアはシュンとした顔をしている。
ずっと体調を崩しているから気にしているのだろう。
疲労が溜まっている中で数日間でこれだけ寒暖差が激しい場所を歩いて無理させてしまったから仕方ないのに。
ご主人が部屋から出た時に俺はリディアの頭を撫でた。
「体調万全にして明日から頑張ろう?」
「…うん」
少し寂しそうな顔をするリディアにキスをした。
「戻ったら一緒に温泉に入ろう」
「ん……待ってる」
リディアが愛しくて離れ難いけど、部屋を後にして食堂の掃除を始めた。
ホールの床を掃除して、テーブルと椅子を丁寧に磨いていると食堂の前を女性客が会話をしながら通り掛かり会話が耳に入ってきた。
「えぇ!それで別れちゃったの?」
「当たり前じゃない!彼ったら最初から私の意見も聞かずに大事な事も勝手に決めちゃって!男が引っ張るなんて今時流行らないわよ!」
「わかるー!初めは良いけど、そういうの後から冷めるよねぇ」
え……そうなのか……?
男がリードするものじゃないのか…?
思い返してみるとリディアと恋人になる前から行先も今後の事も俺が決めたような物だ。
そう言われてみれば一般女性の恋愛の意見を聞いた事は今までなかった。
そうだ、俺は今は王族ではない。
王族周辺の恋愛事情の考え方をしていたらリディアに愛想を尽かされてしまうかもしれない。
ここでの生活は二人だけで行動していた昨日までとは違って他にも男はいる…
リディアを他の男に取られたくない。