18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
がらりとドアが開いて長門先生が戻ってきた。
伊吹くんは「じゃっ」と言ってカーテンを閉めて行ってしまった。
「香取くん、具合はもういいのかい?」
「知ってるくせに」
「じゃあ、きちんと授業に出るように。本当に具合の悪い子もいるからね」
「わかってます。んじゃ、失礼しまーす」
伊吹くんが出ていったあと、しんと静かになった。
長門先生とのやりとりを聞いていたら、伊吹くんは頻繁にここに来ているんだろうなあと思った。
由希ちゃんにもらった痛み止めが効いてきたのか、急に眠気が襲ってきて、それからブツッと記憶が飛んだ。
夢を見ることもなく、深い眠りに落ちてしまって、気づいたら聞き慣れた声がかすかに耳に届いた。
「いろは、最近疲れてるみたいでー」
「それは僕も気になっていたところだよ。つい先日も顔色があまりよくなかったからね」
小春の声、と長門先生の声だ。
「すみません、本当に」
あ、これは由希ちゃんの声だ。
由希ちゃんも来てくれたなんて、お仕事なのに申しわけないなあと思った。
「あ、いろは起きた?」
由希ちゃんがカーテンから覗いて声をかけてきた。
「由希ちゃん、ごめんね」
「具合はどう?」
「うん、もう大丈夫」
由希ちゃんのうしろから小春が顔を覗かせた。
「いろはー、心配したんだからね」
「ごめんね、小春。でも大丈夫、ただの生理痛だから」
「いや、倒れる人もいるって聞くからさ。無理しないほうがいいよ」
小春の言葉に胸の奥がじんと熱くなった。