18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

「こういうのが好きなのか」

 遥さんは笑みを浮かべたまま、私のノートを再度じっくり眺めた。


「そ、れは……友達に、頼まれて……」

「いろは」

 遥さんはノートから私へと視線を移し、穏やかに笑って言った。


「こういうこと、したい?」

「えっ……」

 どきりとして体が硬直した。

 彼はまたノートをパラパラとめくりながら話す。


「絵は上手いと思うんだよ。でも、中身が伴ってない」

「な、中身……?」

「そう。経験がないことが丸わかりだ」

 急激に恥ずかしくなって頭から足の先まで燃えるように熱くなった。


「だ、って……それ、創作だし……」

 遥さんはノートを閉じてそれを本棚にしまうと、ゆっくりと私に近づいてきた。

 だから私は少しずつ離れる。

 うっかりしていたけど、ここは寝室だ。

 遥さんが私のためにデスクを用意してくれた、私が寝ている部屋。


「どんなものか体験すると、もっと深みのある絵が描けるよ」

「遥さん、課題が……」

 最後の問題は解けたんだけど、彼の気をそらせるためにそんなことを言った。

 もちろん、通用しなかった。


「終わったよね」

 遥さんがそう言った瞬間、体が傾いて、私はベッドに仰向けに転がった。

 目の前には天井ではなく、彼の姿。


「実家にいるときはこうやって落書きしてさぼっていたのか」

「うっ……」

 反論できない。本当のことだから。


「ごめ、なさい……」

「俺に謝っても仕方ないね。でも、ペナルティは必要かな」


 あああ……やっぱりーっ!!!


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