18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
広いダイニングルームで食事をすることになった。
テーブルや椅子などはアンティーク風の家具、天井にはシャンデリア、棚には骨董品が並んでいる。
落ち着かないくらい広いテーブルに私と遥さん、そして向かい側にご両親と弟の奏太くんがいた。
「ほら、奏太。ご挨拶しなさい」
おじさまに言われて、奏太くんがぼそぼそと自分の名前を言った。
分厚い黒縁眼鏡をかけていて前髪が長く、顔がよく見えない。
昔はもっと明るい子だと思ったけど、ずいぶん印象が変わったなあと思った(昔といっても彼が幼稚園の頃のことだけど)
「いろはです。よろしくね、奏太くん」
笑顔で挨拶をしたのに、奏太くんに思いっきり無視された。
嫌われているのかなあ、と心配になる。
彼は中学生なので年齢的には遥さんより奏太くんのほうが近いのに、なんだか寂しいなと思った。
食事はフレンチのフルコースが振る舞われた。
海鮮の前菜キャビア添えと鮑のスープ、帆立と伊勢海老のソテー、牛フィレ肉とフォアグラのソテー、デザートはシフォンケーキのフルーツ添えだ。
料理を食べ終わると遥さんは席を立った。
「いろははゆっくりしてていいよ」
「え?」
遥さんはほとんど会話をしなかった。
彼のご両親を見ると、特に何も言わず、顔色を変えることもない。
私の両親なら来客のあるときに先に出ていったら叱られるのになあと不思議に思った。