18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

 父が部屋を出ていったあと、母は床に座り込んで泣きじゃくった。

 しばらくして遥は部屋の中に入り、そろりそろりと母に近づいて、それから恐る恐る声をかけた。


「おかあさん」

 すると母は顔を上げて、恐ろしい形相で遥を睨みつけた。

 遥はびくっとして固まった。


『遥のために』

 先ほどの母の言葉を思い出し、遥は母が自分に怒っているのだと思った。


「ごめんなさい……おかあさん、ごめんなさい」

 不安げな表情で一生懸命謝った。

 すると母はぼろぼろと涙をこぼしながら、手を伸ばして、遥を抱きしめた。


「ごめんね。遥のせいじゃないわ。ごめんね」

 母親の腕はとても細かった。

 少し前まではもっと温かい感じだったのに、今はガリガリで冷たかった。


 遥には大人の事情がよくわからなかったが、ひとつだけ決意したことがあった。


 おかあさんは、ぼくがまもってあげよう。



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