18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
高校に入るまでの辛抱だった。
中学を卒業したらひとり暮らしがしてみたいと父に相談すると、すんなり了承してもらえた。秋月家にはマンションがいくつもあるので、父も特に反対はしなかった。
父にとって、遥はいないほうがよかったのだろう。
父は奏太が生まれてから、家にいる時間が多くなった。
夕食は帰宅して家族と食べることがほとんどだった。
母がいたときは帰ってこなかったくせに、と遥は毎日苛立ちを感じていた。
だから、彼らと食事を一緒にすることを拒み、勉強したいからという理由で使用人に部屋まで食事を持ってこさせた。
秋月家はすっかり奏太を中心に回っていた。
それでも、遥は母との約束を果たすため、奏太を跡継ぎにしないため、優秀であり続け、父にもいい顔を見せていた。
遥は時折、押し潰されそうな孤独と戦っていた。
誰も、自分を理解してはくれないだろう。
それでもいいと思った。
たまに、どうしようもなく死にたくなるときもあった。
死んだら楽になれるだろうと何度も思った。
それを思いとどめたのは、母の最期の言葉だけだった。
――遥、絶対に、負けないで――