3次元の王子様は元同級生を惚れさせたい
店の扉を開けると、カランカランと鈴が鳴った。


中にはテーブルが4つほど、カウンターを合わせると全部で12席くらい。


もっと狭いかと思っていた。


ただ、利用しているのは老夫婦1組とビジネスマンが1人で、思った通り、穴場のカフェだ。


「いらっしゃいませ!ご注文お伺いします」


「えーっと、モーニングセットで、フレンチトーストとあんバタートースト。両方カフェラテでお願いします」


「かしこまりました!お持ちしますのでお席でお待ちください」


店員は2人。


俺の注文を取ってくれたのがどうやら店長のようで、バイトっぽい大学生くらいの女の子に何やら指示を出していた。  


2人とも白の襟付きシャツにブラウンのエプロンを付けている。


バイトらしき女の子はショートカット、店長らしき彼女は高い位置にお団子で髪がまとめられていた。


清潔感があってポイントが高い。


店内も落ち着いた照明で、穏やかなカフェミュージック、いい感じに置かれた観葉植物に、木の温もりが感じられるテーブルが最高だ。


随所にこだわりと統一感のある空間。


そして何よりも、この絶妙な客入りがありがたい。


渋谷はどこもかしこも人が多くて、もし気づかれでもしたらたちまち囲まれ周りの迷惑になることは不可避だ。


だから、スクランブル交差点にあるあのカフェなんて、絶対に行けない。


ここは総合的に点数が高く、リピート確定かもしれない。
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