【極上溺愛】エリート鬼上司は無垢な彼女のすべてを奪いたい
この一週間の賢人さんの言動を振り返ってみても、彼が嫉妬をしているなんて思えない。それに昴は過去の人間だ。この間たまたま現れただけで、賢人さんが気にするようなことはなにもない。
化粧室に向かった真凛と別れて給湯室で空になったお弁当箱を洗っていると、背後に気配を感じた。
「小松ちゃん、今日も手作り弁当だったんだね」
振り返ると池崎さんがニコニコしながら私の手もとを覗き込んでいる。
「毎日ほんと偉いよな。料理上手そうだし、いい奥さんになりそう」
「いえ、いつもあり合わせを詰めてるだけですし……」
営業部のムードメーカーでもある池崎さんはどういうわけか私を『大和撫子』と呼んで自分の理想を重ね合わせている。
実際には私の家事スキルなんてたかが知れている。ぼんやりして塩と砂糖を間違えることはしょっちゅうだし、部屋は雑然としていて賢人さんが来る前日に急いで片付けているくらいだ。
水切りカゴにお弁当箱を伏せても池崎さんは私の手もとを見たまま立ち去らない。
「あの」
休憩が終わる前に化粧室に行っておきたいし、早いところ話を切り上げたいなと思っていると、彼ははっとしたように笑った。
「あ、もう弁当作ってなんて図々しいことは言わないよ。ごめんな今まで」