【極上溺愛】エリート鬼上司は無垢な彼女のすべてを奪いたい
ことあるごとに『小松ちゃんの弁当が食べたい』と言われてその都度断っていたけれど、ようやくあきらめてくれたらしい。
「お詫びってわけじゃないけど、今度ふたりで食事に行かない?」
思いがけない誘いに固まっていると、池崎さんは珍しく歯切れ悪く言う。
「旨そうな店見つけたんだけど、女の子とじゃないと入りにくそうなところでさ」
彼は私が自分の上司と付き合ってるとは夢にも思っていない。知っていたら私に声を掛けるはずがないし、私も同僚とはいえ男性の先輩とふたりきりで食事に行くのは憚られる。
困ったな。どうやって断ればいいだろう。
「ごめんなさい、私――」
言葉に詰まっていると「池崎」と低い声が給湯室に飛び込んできた。顔を覗かせた長身の男性に、池崎さんがぎょっとして姿勢を正す。
「冴島部長、どうしたんすか」
いつものごとく表情を引き締めたままの賢人さんが、手にした書類を池崎さんに突き出した。
「この資料、グラフの数値に誤りがあるぞ。午後イチの会議で使うから急いで直せ」
「うわホントだ、すみません! いますぐ直します」
書類を受け取ってデスクに戻っていく背中をぽかんと見てしまった。
「大丈夫か」