お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

「ふふ。お前はよく泣くね、守人」

「……むぅ」



図星だからこそ、何も言い返せない。勇運よりお兄ちゃんなのに、勇運よりも泣く回数は多かった。

だけど父さんは、泣き虫な僕を責めるとか。そういうことは、一切しなかった。


むしろ――



「守人はよく泣く。だけどね、とっても優しい子だ」



そんな事を言った。



「でも……優しいだけじゃ、ダメでしょ? 僕は泣き虫だから、カッコ悪いよ……」

「でもね、優しい子が、人を守れるんだよ。守人には、誰かを”守”る”人”になってほしい。そんな願いを込めて、”守人”と名付けたんだ」

「え……」

「守人は、大きくなるにつれて強くなる。泣き虫も、そのうち卒業できるさ。

だけど、どうしても不安になる事もあるだろう。その時は――弟を頼るんだよ」

「勇運を?」

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