一つの夜が紡ぐ運命の恋物語を、あなたと
「バス……ローブ……」
由依が悩むのを見越して置いてくれたのだろう。そのさりげない気遣いが大智らしいと思ってしまう。
体を軽く拭き、まだ水分を含んだままの髪にタオルを巻く。下着は考えたすえにショーツだけにして、肌触りの良いタオル地のバスローブに袖を通した。
普段から特別手入れすることもない髪はすぐに乾いた。由依はドライヤーを置くと、ようやくちゃんと鏡に向き合ってみる。目の前には不安げに瞳を揺らす自分の姿が映っていた。
(……後悔は……してない)
まだ事が起こる前だ。でもこれから起こることを後悔はしないだろう。彼女でもないのにこんなに優しくされて、そしてこのあとも間違いなくそうしてくれるだろう。
由依は自分を奮い立たせるように頷く。鏡の中の自分が頑張れと言っているように見えた。
バスルームから出ると、大智は待ち構えていたようにソファから立ち上がった。
「もうちょっと、ゆっくりしてくればよかったのに」
微笑みを浮かべ、大智は由依の頭をそっと撫でた。