一つの夜が紡ぐ運命の恋物語を、あなたと
「何を考えていたんだい?」

 由依の背中越しに、同じ方向を見ながら大智は尋ねた。背中に触れるか触れないかの距離。そこからじんわりと熱が伝わってくる。それは自分が発している熱と相まって、より体温を上げている気がした。

「……綺麗だなって……」

 それは嘘ではないけれど、本当はそれだけではなく、少ししんみりとしていたなんて言えなかった。

「……そうだね」

 耳を撫でる息遣いと低く落ち着いた声は、由依の心拍数を高まらせるには充分だった。急激に緊張感が増し身を固くする由依に、大智は静かに尋ねる。

「触れてもいい?」

 それにコクリと頷くと、大智の腕が由依の体を包み込んだ。

(どうしてだろう……)

 言葉もなく抱きしめられているだけなのに、不思議なほどしっくりくる。こうされるのが当然だったみたいに安心できて、緊張が解けていく。ずっと身を預けていたい、そんなことが心の奥に湧き上がっていた。

「移動……。しようか」

 大智に凭れ掛かり、ぼんやりと瞬く光を眺めていた由依の耳に声が届く。
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