一つの夜が紡ぐ運命の恋物語を、あなたと
 激しく打ち鳴らす心臓の音が、その手を通じて聞こえてしまいそうだ。けれど恥ずかしがる余裕もなく、もう片側の胸の頂きは大智の口に含まれた。

「や、あっ……」

 じわり、と体が蕩けそうな感覚が自分を襲う。声にならない声を上げ、由依は体を揺らした。舌先で尖りを弾かれながら、もう片方は指で摘まれ、その刺激に堪えられず背中を浮かす。由依は無意識に奥歯を噛み締め、声を押し殺す。なのに荒い息が喉の奥から押し寄せてきた。

「ふっ、ぅ、うっ……」

 とても可愛らしい声とは思えないが、そんなことを気にしている余裕もない。刺激を受けながらバスローブは取り払われ、気がつけばショーツ一枚のあられもない姿を曝け出している。大智は由依に愛撫しながら、器用に自分の着ているものを脱いでいた。

「声、我慢しないで。……もっと聞かせて」

 するりと頬を撫でられ、由依はぎゅっと閉じていた瞼を薄く開く。

「変……じゃないですか? 私の声……」

 誰かと比べようもなく、普通がどんなものなのかも知らない。でも大智に幻滅されたくない。由依の頭にはそんなことが浮かんでいた。
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