一つの夜が紡ぐ運命の恋物語を、あなたと
 そんな会話をしながらインフォメーションに向かう。グルリと回ってきたらしく、そこはショーのあったプールのそばだった。

「あっ!」

 真っ先に声を上げたのは陽向だ。自分たちの先に、大きなバッグを手にした女性の後ろ姿が見える。その女性もインフォメーションに向かっているようだった。

「ママー‼︎」

 陽向が大きな声で呼びかけると、それが届いたのか女性は振り返る。

「陽向!」

 身を捩り降りたいとアピールする陽向に従い大智は彼を下ろす。床に足が付いた途端、陽向は駆け出した。

「ママ! どこに行ってたの? 探してたんだよ!」
「よかった……。陽向こそ、どこに行ってたの? ママ、探したんだよ」

 自分の足にしがみつく陽向に、泣きそうな表情で彼女は言った。陽向は振り返ると、ゆっくり近づいた由依たちを指さす。

「あのね、おじちゃんたちが連れて来てくれたの」

 陽向の母は顔を上げ二人を見たあと、慌ててその言葉を訂正した。

「おじちゃん⁈ お兄さんよ、陽向!」

 確かに陽向の母は二人より年上に見える。けれどそんなに慌てる理由は、微笑みを浮かべる大智の顔にもあるようだった。
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