一つの夜が紡ぐ運命の恋物語を、あなたと
 トンネルを抜けると次のエリアの案内表示があった。そして、そちらとは別方向への矢印とインフォメーションの文字が見えた。

「あっちにペンギンいるんだよ!」

 向こう側を指差して、陽向は得意げに言っている。

「そうなんだね。どうだった? ペンギンは」

 大智が尋ねると、陽向は途端にしゅんとした表情になった。

「いっぱい人がいて見えなかった。ママが、前で見てきていいよって言ったけど……」

 ショーが終わった直後だったようだ。大きな水槽だとしても、人集りで小さな子どもには中が見えなかったのだろう。残念そうに陽向は言った。

「ペンギンさんはいなくなったりしないから大丈夫だよ。ママもきっと、陽向君と一緒に見たいと思うな」

 励ますように由依が明るく話しかけると、陽向は少し元気を取り戻したようだ。

「うん。ママ、どこにいるのかなぁ?」

 大智の肩に掴まったまま、辺りをキョロキョロ見渡していた。近くにそれらしき人の姿はなかった。

「すぐに会えるよ」

 大智が優しく言うと、陽向は小さく頷く。

「じゃあ、あとでおじちゃんも一緒にペンギン見よう? いいでしょ?」
「お母さんがいいって言ったらね。由依もいい?」
「もちろん。陽向君とペンギンさん見るの楽しみだな」
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