一つの夜が紡ぐ運命の恋物語を、あなたと
 二人の背中を見送ると、少し寂しくなってしまう。もう陽向と楽しそうに会話をする大智の姿は見れないのか、と思ってしまう自分がいた。
 さりげなく手を繋がれ、まだ回っていないエリアに向かい歩き出す。

「由依? 疲れた?」

 大智に顔を覗き込まれ我に返る。

「い、いえ。大智さんは大丈夫ですか? ずっと抱っこしてましたけど」
「実はそろそろ限界だった。子どもって意外に重いんだね。これが生命(いのち)の重みか、なんて柄にもなく思ったよ」

 大智は薄らと笑みを浮かべ言った。こんなことを当たり前のように言う人に、惹かれないでいるほうが無理だ。
 由依は湧き上がる感情を必死で押し殺しながら尋ねた。

「大智さんは……子どもが好きなんですか?」
「……好き、だと思ったことはないよ。今まで接する機会なんてほとんどなかったし」

 意外だった。そんな風には見えなかったから。
 由依は驚いたまま、大智の横顔を見上げていた。
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