五年の想いを抱えて
俺は絶句した。

聞いた瞬間は信じられなかったが、昨日の手紙を思い出すと急に現実味を帯びてくる。

「いつだかわかる?」

「え、どうだろう。2,3日前だって言ってたと思うけど」

「そっか」

俺は自分の席について、うなだれた。

2,3日前ってことは俺が受け取った手紙を出してからすぐだということだ。

俺に向けてあの手紙を書いたとき、それをポストに投函したとき、もう彼女は死ぬつもりだった。

そのことが俺に強くのしかかる。
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