破壊
自分でも分かるほどにパニックに陥った。これがサブドロップだというのなら、きっとそうなのだろう。頭痛がして吐きそうで、過呼吸になってしまったかのように息が苦しい。
「俺の言うこと聞けよ、霧崎」
谷坂の手が、再び俺の頬を打った。威力の増した一撃に立っていられなくなり、ぐらりとバランスを崩した俺は、近くの机に体をぶつけて床に座り込んでしまった。その席の人は元から危険を察知していたのか離れていたため、二次被害は起きずに済んだが、聞こえた女子の恐怖に震えるような小さな悲鳴が、この場の状況や空気が異常であることを示しているかのようで。怖がらせたくはないと思いながらも、錯乱している俺が谷坂の暴走を止められるはずもなく、専ら流血するほどに殴られ続けるだけだった。
もう、谷坂は、抑えられないのだ。苛立ちを。本能を。興奮を。Subを暴力で支配したいという自身の欲求を。鈴原もそうだが、谷坂も酷いサディストだ。このままでは殴り殺される。谷坂の指示に従わなければ、殴り殺される。でも、どうだ。そうすれば、そうしようとすれば、今度は鈴原に首を絞められて殺される。八方塞がりだ。
チャイムは鳴ったのに、頼みの綱である先生はまだ来ない。この教室では、授業はまだ始まっていない。谷坂の一方的な暴力は終わらない。鈴原を殺してくれるよな、と瞳孔の開いた目が俺を見下ろし、サブドロップから抜け出せない俺をケアすることもなく身勝手に頬を殴る。気づけば平手から硬い拳に変わっていた。意識がぐらぐらと揺れ動き、気を失いそうだった。
「ああ、そういえば、今思い出したよ、霧崎くん。俺、殺しの邪魔はさせないって言ったんだったね」
「俺の言うこと聞けよ、霧崎」
谷坂の手が、再び俺の頬を打った。威力の増した一撃に立っていられなくなり、ぐらりとバランスを崩した俺は、近くの机に体をぶつけて床に座り込んでしまった。その席の人は元から危険を察知していたのか離れていたため、二次被害は起きずに済んだが、聞こえた女子の恐怖に震えるような小さな悲鳴が、この場の状況や空気が異常であることを示しているかのようで。怖がらせたくはないと思いながらも、錯乱している俺が谷坂の暴走を止められるはずもなく、専ら流血するほどに殴られ続けるだけだった。
もう、谷坂は、抑えられないのだ。苛立ちを。本能を。興奮を。Subを暴力で支配したいという自身の欲求を。鈴原もそうだが、谷坂も酷いサディストだ。このままでは殴り殺される。谷坂の指示に従わなければ、殴り殺される。でも、どうだ。そうすれば、そうしようとすれば、今度は鈴原に首を絞められて殺される。八方塞がりだ。
チャイムは鳴ったのに、頼みの綱である先生はまだ来ない。この教室では、授業はまだ始まっていない。谷坂の一方的な暴力は終わらない。鈴原を殺してくれるよな、と瞳孔の開いた目が俺を見下ろし、サブドロップから抜け出せない俺をケアすることもなく身勝手に頬を殴る。気づけば平手から硬い拳に変わっていた。意識がぐらぐらと揺れ動き、気を失いそうだった。
「ああ、そういえば、今思い出したよ、霧崎くん。俺、殺しの邪魔はさせないって言ったんだったね」