破壊
谷坂を支えながら歩く鈴原の後を大人しく追う。そのまま誰にも会うことなく一階にある保健室へ辿り着いたが、養護教諭は外出中なのか留守だった。それでも構わずに鈴原は扉を開け、遠慮もなく中へと足を踏み入れた。鍵閉めて、と柔らかい口調で指示を出され、俺は操られるように扉の鍵を閉めていた。そこではたと気づく。自分は谷坂ではなく鈴原を選んだのだと。否、選ばされたのだと。それはつまり、俺はこれから谷坂を。そうだ、谷坂を、殺さなければ。殺さないといけない。でなければ、鈴原は俺を愛してはくれない。
鈴原はすっかり鳴りを潜めている谷坂を意外にも丁寧にベッドに寝かせたかと思えば、多少は落ち着きつつある彼を再び追い込むように片手で首を絞め始めた。そうしながら、コマンド通りについて来ていた俺を手招いて、苦しげに喘ぐ谷坂を他所に頭を撫でて褒めてくれる。異常な事態なのに、彼に取り込まれてしまう俺はふわふわとした心地よさを感じてしまった。これが、満たされる、ということだった。
「霧崎くん、これ、"Kill"」
これ、と物のように谷坂を示す鈴原から、三回目の殺して。一回目よりも二回目よりも、拒絶できなかった。俺が実行するまで、鈴原は何度だって同じことを口にする。俺を慰めては自分の支配下に置いて、何度でも。従うまで、何度でも。拒否すれば、谷坂がされているみたいに俺の首を絞め、殺そうとするだろう。絞められた感覚が蘇る。息が詰まる。首を抑える。
自分を犠牲にして谷坂を守るほど、俺は正義感に溢れた人間ではなかった。そんな善人ではなかった。殺されるなら、殺すしかない。実行できれば、鈴原は頭を撫でる以上の行為で、きっと俺を褒めてくれる。愛してくれる。
鈴原はすっかり鳴りを潜めている谷坂を意外にも丁寧にベッドに寝かせたかと思えば、多少は落ち着きつつある彼を再び追い込むように片手で首を絞め始めた。そうしながら、コマンド通りについて来ていた俺を手招いて、苦しげに喘ぐ谷坂を他所に頭を撫でて褒めてくれる。異常な事態なのに、彼に取り込まれてしまう俺はふわふわとした心地よさを感じてしまった。これが、満たされる、ということだった。
「霧崎くん、これ、"Kill"」
これ、と物のように谷坂を示す鈴原から、三回目の殺して。一回目よりも二回目よりも、拒絶できなかった。俺が実行するまで、鈴原は何度だって同じことを口にする。俺を慰めては自分の支配下に置いて、何度でも。従うまで、何度でも。拒否すれば、谷坂がされているみたいに俺の首を絞め、殺そうとするだろう。絞められた感覚が蘇る。息が詰まる。首を抑える。
自分を犠牲にして谷坂を守るほど、俺は正義感に溢れた人間ではなかった。そんな善人ではなかった。殺されるなら、殺すしかない。実行できれば、鈴原は頭を撫でる以上の行為で、きっと俺を褒めてくれる。愛してくれる。