破壊
「霧崎くん」
不意に、名前を呼ばれた。その声に、一気に現実に引き戻された。開けた視界の先には、俺に首を絞められた谷坂の姿がある。彼は脱力している。感じていた脈が、静かになっている。動かない。喋らない。瞬きをしない。息をしていない。死んでいる。俺が、この手で、殺した。
谷坂の首を未だ掴んでいる俺の手が、ガタガタと震え始めた。恐怖か、歓喜か、分からない。理性と本能が交互に顔を出し、動揺する脳を殴って、殴って、殴りつける。頭痛がした。吐き気がした。
助けを求めるように鈴原を見る。鈴原は嗤っていた。霧崎くん、ともう一度俺を呼び、俺の首を捕らえていた手で頭を撫で始める鈴原は、偉いね、と柔らかい口調で褒めてくれた。その一言で、混乱していた頭がクリアになり、震えも治まり、快い多幸感に包まれた。
「霧崎くんは優秀だね。ご褒美に、俺が愛してあげる」
コマンドに従い、褒められ、気持ちよくなってしまう俺の頬に手を添えた鈴原が、徐に顔を近づけてくる。何をされるのか分かっても、俺はそれを拒否しなかった。できなかった。恍惚感が、俺をおかしくさせる。静かに重ねられた唇が、俺を狂わせていく。
殺した谷坂の側で、鈴原とキスをしても目が覚めない俺は、鈴原に褒められ愛されることを期待し、次第に深く激しくなっていくその行為に夢中になった。人を殺したのだ。俺は、人を。クラスメートを。もう、現実なんか見たくない。ずっとこのまま、罪悪感を抱くことなく気持ちよくなっていたい。鈴原に、何も考えられないくらいに、壊されてしまいたい。殺人を犯した俺を受け入れ、認めてくれる鈴原に、俺を従わせた鈴原に、全てを預けてしまいたい。
不意に、名前を呼ばれた。その声に、一気に現実に引き戻された。開けた視界の先には、俺に首を絞められた谷坂の姿がある。彼は脱力している。感じていた脈が、静かになっている。動かない。喋らない。瞬きをしない。息をしていない。死んでいる。俺が、この手で、殺した。
谷坂の首を未だ掴んでいる俺の手が、ガタガタと震え始めた。恐怖か、歓喜か、分からない。理性と本能が交互に顔を出し、動揺する脳を殴って、殴って、殴りつける。頭痛がした。吐き気がした。
助けを求めるように鈴原を見る。鈴原は嗤っていた。霧崎くん、ともう一度俺を呼び、俺の首を捕らえていた手で頭を撫で始める鈴原は、偉いね、と柔らかい口調で褒めてくれた。その一言で、混乱していた頭がクリアになり、震えも治まり、快い多幸感に包まれた。
「霧崎くんは優秀だね。ご褒美に、俺が愛してあげる」
コマンドに従い、褒められ、気持ちよくなってしまう俺の頬に手を添えた鈴原が、徐に顔を近づけてくる。何をされるのか分かっても、俺はそれを拒否しなかった。できなかった。恍惚感が、俺をおかしくさせる。静かに重ねられた唇が、俺を狂わせていく。
殺した谷坂の側で、鈴原とキスをしても目が覚めない俺は、鈴原に褒められ愛されることを期待し、次第に深く激しくなっていくその行為に夢中になった。人を殺したのだ。俺は、人を。クラスメートを。もう、現実なんか見たくない。ずっとこのまま、罪悪感を抱くことなく気持ちよくなっていたい。鈴原に、何も考えられないくらいに、壊されてしまいたい。殺人を犯した俺を受け入れ、認めてくれる鈴原に、俺を従わせた鈴原に、全てを預けてしまいたい。