破壊
 あっという間に理性を失い、求めるように自ら舌を差し出してしまうと、まるで期待に応えるかの如く、鈴原の舌が俺のそれを絡め取った。淫靡な音が増す。熱っぽい吐息が漏れる。視線が重なり、呼吸が重なり、心臓が重なって。リードする鈴原に取り込まれていく。Domに、鈴原に、支配され、狂わされることが、壊されることが、こんなにも心地良いだなんて、快楽に繋がるだなんて、知らなかった。

 決して動くことのない死体の側で、気が済むまでキスをして、狂ったように貪り合って、どちらからともなく唇を離した。引いた糸がすぐに切れ、こくりと唾液を飲み込む。口角を持ち上げ満足そうな表情で俺を愛で、手中に収める鈴原に、正気を保っていられないほどに陶酔する。

「やっと、俺の隣に堕ちてくれたね、霧崎くん。好きだよ」

 俺を抱き寄せ、髪を撫で、耳元で愛を囁く鈴原の声が、言葉が、俺を容易に破壊していく。コマンドを使って人を殺させることで俺の人生全てを奪い、それにより居場所を失くした俺が頼れる相手を自分だけにして見せた鈴原からは、もう、きっと、離れられない。鈴原の隣で、鈴原と共に、底の見えない闇にずぶずぶと沈んで、堕ちていくしかなかった。



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