佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋

無理をして会いに行く頻度も減っていき、気が向いたら連絡するようになっていった。

そんな時に、前の彼女と再会したのだ。

一年前、彼女は辰巳よりも昇進を選び、別れを告げて辰巳の管轄外の地域へ行ってしまった。

なぜ、待っててほしいと言わなかったのか?
なぜ、待ってると言わなかったのか?

後悔ばかりだ。

そんな時にしおりからの告白で付き合いだしたものの、受け身のしおりでは、辰巳を惹きつけ夢中になるほどの魅力が足りなかった。

だからか、前の彼女に振り回された恋を忘れることもできず、しおりとずるずると続けている。

彼女に再会し、やはりこの女しかいないと激情に走り、彼女を抱いた。その後、しおりからの数回の着信に気がつかないほど夢中になっていた自分をあざけり笑った。

昼間にあったメールにも返信を返さなかった辰巳は、気が咎めて画面を眺めていると、しおりから『お話ししたいことがあります』とのメールをうけとり、『俺も、話がある。近々、連絡する』と送りながらも、残酷に別れを告げることを躊躇っていた。

しおりはいい子すぎて、それなりの愛情もあり、ズルズルと先延ばしにしていたが、やっと決意をかため今日、連絡した辰巳だった。
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