佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
ストーカー女と勘違いされてから、隣人と顔を合わせることもなく、日々は過ぎていく。

教えてもらった道は、階段を登り降りするよりも楽で、教えてくれた男に感謝している。ストーカー女と間違えられたけど。

休みの日にでも、散策に出ていればあの道をもっと早く知ることができただろうと思うが、偶然がない限り、しおりは、きっと知ることもなかっただろう。

久しぶりに定時で帰れたしおりは、週末も休みを取れたことで、スーパーへ寄り、買い物袋を肩にかけて、教えてもらった道を上がっていると、ふいに荷物が軽くなった。

「持ってやるよ」

「えっ…あ、ありがとうございます」

「大量に買い物したんだな」

「はい。今日は、珍しく定時で帰れたので、買いだめしてきました」

「へー、いつもは定時で帰れない職業ってことは、接客業か⁈」

「そうです。よく分かりましたね」

ほんとに驚くしおりに男は苦笑する。

「そりゃ、誰でもわかるだろ。でも、職業までわからないよ」

「あっ、そうですね…えっと、そちらも接客業ですか?」

「教えない」

「そうですよね。警戒しますよね。ストーカーされるほどおもてになると」

「まぁな。自覚はある」
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