願わくば、再びあなた様と熱い口づけを。
「小夜を失ってから俺はずっと腑抜けていた。そんな俺を見かねた親父がここへ来る手はずを取った。言われるがままにこの見世にきて、お前に出会った。だがな、やさしくするのは違うと思った。でも放ってはおけなかった」



自嘲気味に笑いながら景春 様は私の目をまっすぐに見つめてきます。

きっと、景春 様にとって小夜という存在は大切だったのでしょう。

そして寂しい想いをさせていたことを深く後悔しています。



それを私に重ねたのかもしれません。

ひどい話かもしれませんが、景春 様の話を聞いて私はその小夜という女に嫉妬をしました。





あぁ、私もまたさみしかったのだ。

愛してほしかったのだ。

景春 様という一人の男に見てもらえたらと思ってしまった。




私は小夜にはなれない。

結局、苦しいだけで終わってしまうのだ。




私は景春 様に抱かれながら報われない想いに気づき、心を痛めます。

愛を知ってしまえば生きにくくなるというのに。




景春 様はずるいお方だ。


ずっと冷たかったくせに、弱った私を見てやさしくしてくるのだから。

私は景春 様の胸に顔を埋め、静かに涙を流しました。



「この話をして、お前に泣いてほしいわけではない」


「景春……さま?」


顔をあげるとそこには艶やかに微笑んだ景春 様の姿がありました。

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