その笑顔を守るために
「美味いよ!原田先生も食べて。」
そう言われて瑠唯も焼き鳥を一口食べる。そこに、飲み物も運ばれてきて…
「これ…ポテトサラダ、私が作ってるんです。助けて頂いたお礼です。」
涼ちゃんが飲み物と一緒に、二人の間にポテトサラダを置いた。
「医者は怪我した人や病気の人を助けるのが仕事だから、お礼と言われても…でも、ありがたくいただくよ。」
山川の爽やかな笑顔に涼ちゃんの頬がポっと染まった。
「美味しい!やっぱり日本のものって最高ですよねぇー」
「そうだね…外国にいるとどうしてもこういうものが恋しくなるよね。」
「ですよねーラーメンとかお好み焼きとか…最近では、アメリカにもそういったお店、結構ありますけど…なんかやっぱり一味違うんですよねぇー」
「じゃあ、次はそういうの食べに行こう。」
「お好み焼きはこの前、滝川先生と食べに言ったから、ラーメンがいいですね。何処か美味しいとこ…」
そこまで言って、瑠唯は何故か冷え込んでいく空気に気付き、山川を見上げると…口を真一文字に結んで固まっている。
「お好み焼き食べに行ったんだ…滝川と…」
「えっ?ああ…あの…以前のオペ…ほら、めぐちゃんとお母さんの…二人同時のオペの借りがあるとかで…」
山川の表情がますます冷え込む。
「それは、君の借りなのか?」
「ええっと…よくわかんない理屈ではありますが…えっ…でも、ああ!二人っきりじゃなくて…師長と進くんも一緒でしたから!」
「四人で行ったって事?」
そこで山川の表情が幾分緩む。
「ええ…ですから、滝川先生とお食事って言うよりは、どちらかというとだしに使われた感じですよ。仲良さそうでしたよ。家族みたいで…進くんも滝川先生に懐いてて…本当の父子みたいでした。」
「そうか…なら…よくはない!僕に黙って、勝手に瑠唯を…」
「勝手に…って…私は先生のものじゃ…な…」
その時、カウンターの下で山川が瑠唯の手をギュッと握った。そして…身体を傾け、耳元で囁く。
「僕はもう手に入れたつもりなんだけど…違った?」
瑠唯は真っ赤になって下を向く。
「楽しく食べて、呑んで…その後、僕の部屋に連れて帰ってもいい?」
耳にかかる息がくすぐったくて少し身じろいだ瑠唯はコクリと小さく頷いた。
それから一時間ほど、二人は食べて、呑んで…瑠唯はあくまでソーダ水だが…他愛もないお喋りをして…数年振りの山川との時間を心から楽しんだ。
その後、タクシーを呼んで二人で乗り込む。山川が自分のマンションを告げる。そこまできて瑠唯はにわかに身体を強張らせて緊張した。山川のマンションに行くのはあの夏の終わりの嵐の夜以来だ。
山川が手を繋いだまま
「緊張してる?」そう訪ねる。
瑠唯は何も答えられない。
突然、山川の背広の内ポケットから振動音がした。「ごめん」と断わって携帯にでる。
「はい、山川です。お疲れ様です。…はい、はい…わかりました。えっ?あ…はい、午後になっても構わないですか?…はい、はい…それでは、失礼します。」
携帯を切った山川に瑠唯が問いかけた。
「何かありましたか?大丈夫ですか?」
「ん…大丈夫…明日の事でちょっとした連絡だった。」
「先生…今日みたいにお酒を飲んだ時、緊急の呼び出しがあったらどうするんですか?」
「んー…そうだなぁ…滅多にそういう事はないけど…もしあったら取り敢えず出向くが、アルコールが入っている時は患者さんにはさわれない。状況を見て指示するだけだ。でも、受け持ちの患者さんで心配な人がいる時は…やっぱり呑まないかな…君はそれを考えて、呑まなくなったの?昔は結構好きだったろう?」
「ええ…まあ、大野先生が、一切呑みませんから…一緒にいるうちに、自然と…」
「大野先生は、もともとゲコだから…コップ半分のビールで寝ちゃうからねぇー」
「ええー!そうなんですか?私には、医師としての姿勢だって…」
「君にカッコつけたんじゃない?」
「し、知りませんでした…」
そんなこんなで瑠唯の緊張が緩んだ所で、タクシーは山川のマンションに到着した。支払いを済ませた山川は再び身体を硬くする瑠唯の背中を押すようにして、部屋に入る。そして鍵をかけた瞬間…
まるで襲いかかるように瑠唯の唇を奪った。
そう言われて瑠唯も焼き鳥を一口食べる。そこに、飲み物も運ばれてきて…
「これ…ポテトサラダ、私が作ってるんです。助けて頂いたお礼です。」
涼ちゃんが飲み物と一緒に、二人の間にポテトサラダを置いた。
「医者は怪我した人や病気の人を助けるのが仕事だから、お礼と言われても…でも、ありがたくいただくよ。」
山川の爽やかな笑顔に涼ちゃんの頬がポっと染まった。
「美味しい!やっぱり日本のものって最高ですよねぇー」
「そうだね…外国にいるとどうしてもこういうものが恋しくなるよね。」
「ですよねーラーメンとかお好み焼きとか…最近では、アメリカにもそういったお店、結構ありますけど…なんかやっぱり一味違うんですよねぇー」
「じゃあ、次はそういうの食べに行こう。」
「お好み焼きはこの前、滝川先生と食べに言ったから、ラーメンがいいですね。何処か美味しいとこ…」
そこまで言って、瑠唯は何故か冷え込んでいく空気に気付き、山川を見上げると…口を真一文字に結んで固まっている。
「お好み焼き食べに行ったんだ…滝川と…」
「えっ?ああ…あの…以前のオペ…ほら、めぐちゃんとお母さんの…二人同時のオペの借りがあるとかで…」
山川の表情がますます冷え込む。
「それは、君の借りなのか?」
「ええっと…よくわかんない理屈ではありますが…えっ…でも、ああ!二人っきりじゃなくて…師長と進くんも一緒でしたから!」
「四人で行ったって事?」
そこで山川の表情が幾分緩む。
「ええ…ですから、滝川先生とお食事って言うよりは、どちらかというとだしに使われた感じですよ。仲良さそうでしたよ。家族みたいで…進くんも滝川先生に懐いてて…本当の父子みたいでした。」
「そうか…なら…よくはない!僕に黙って、勝手に瑠唯を…」
「勝手に…って…私は先生のものじゃ…な…」
その時、カウンターの下で山川が瑠唯の手をギュッと握った。そして…身体を傾け、耳元で囁く。
「僕はもう手に入れたつもりなんだけど…違った?」
瑠唯は真っ赤になって下を向く。
「楽しく食べて、呑んで…その後、僕の部屋に連れて帰ってもいい?」
耳にかかる息がくすぐったくて少し身じろいだ瑠唯はコクリと小さく頷いた。
それから一時間ほど、二人は食べて、呑んで…瑠唯はあくまでソーダ水だが…他愛もないお喋りをして…数年振りの山川との時間を心から楽しんだ。
その後、タクシーを呼んで二人で乗り込む。山川が自分のマンションを告げる。そこまできて瑠唯はにわかに身体を強張らせて緊張した。山川のマンションに行くのはあの夏の終わりの嵐の夜以来だ。
山川が手を繋いだまま
「緊張してる?」そう訪ねる。
瑠唯は何も答えられない。
突然、山川の背広の内ポケットから振動音がした。「ごめん」と断わって携帯にでる。
「はい、山川です。お疲れ様です。…はい、はい…わかりました。えっ?あ…はい、午後になっても構わないですか?…はい、はい…それでは、失礼します。」
携帯を切った山川に瑠唯が問いかけた。
「何かありましたか?大丈夫ですか?」
「ん…大丈夫…明日の事でちょっとした連絡だった。」
「先生…今日みたいにお酒を飲んだ時、緊急の呼び出しがあったらどうするんですか?」
「んー…そうだなぁ…滅多にそういう事はないけど…もしあったら取り敢えず出向くが、アルコールが入っている時は患者さんにはさわれない。状況を見て指示するだけだ。でも、受け持ちの患者さんで心配な人がいる時は…やっぱり呑まないかな…君はそれを考えて、呑まなくなったの?昔は結構好きだったろう?」
「ええ…まあ、大野先生が、一切呑みませんから…一緒にいるうちに、自然と…」
「大野先生は、もともとゲコだから…コップ半分のビールで寝ちゃうからねぇー」
「ええー!そうなんですか?私には、医師としての姿勢だって…」
「君にカッコつけたんじゃない?」
「し、知りませんでした…」
そんなこんなで瑠唯の緊張が緩んだ所で、タクシーは山川のマンションに到着した。支払いを済ませた山川は再び身体を硬くする瑠唯の背中を押すようにして、部屋に入る。そして鍵をかけた瞬間…
まるで襲いかかるように瑠唯の唇を奪った。