不遇な財閥御曹司は、政略妻に一途な愛を捧げたい。
そして、月日は巡り……私は予定日のその日に男の子を産んだ。
「はぁ〜……可愛い。何度見ても可愛い」
ぷくぷくのほっぺを触りながら永眞さんは可愛いを連呼していて、なんだか妬いてしまいそうになる。
子どもに妬きもちやくなんて大人気ないってわかるけど、私にだけ向けられていたものが全て息子に取られてしまったような感覚。
「……けどさぁ、藍南ちゃん。やっぱり一番は藍南ちゃんだよ。一番可愛いし、一番好き」
「え? なんで……」
「藍ちゃん、なんだか寂しそうだったから。子どもに嫉妬しちゃう藍南も可愛いんだけど」
永眞さんは、隣に座り私の手を取ると甲にチュッとリップ音をさせてキスを落とす。
「っ! 永眞さん!」
「ん? 足りない? 教育上悪いけど、寝てるし……いっか」
「へっ!? ちょっ……!」
私が驚いている間に、永眞さんは唇をかさねた。