不器用な神野くんの一途な溺愛
肌寒い季節というのに、浅い川の中で暗そうな女が、バシャバシャと水遊びをしていた。


『なんだ……あれ……』


助けようかと思って近づいて行ったが、「げ……げ……」とブツブツ言っているのに気づいて、後ずさる。


『完璧に、ヤベー奴じゃん……。ほっとこ』


原稿もあるしな――


『はー、めんど……』


なんせ、あと3日しかない。


『はー、ダル……』


なんでウチの母親は、あんなに耳がいいんだよ……。スピーカーにしてなかっただろ……。


『はー……』


そして入学式当日。


なんとか原稿を完成させ、言われたように1時間早く職員室に来て、教頭と話をする。

「本当にごめん」と何度も言われたが、俺が謝ってほしいのは――首席、ただ一人だ。

一言文句いわねーと、気が済まねぇよ。


その時、他の先生が「失礼しますね」と横から入ってきた。教頭に用があるらしい。
< 39 / 425 >

この作品をシェア

pagetop