不器用な神野くんの一途な溺愛
うちの高校の「王子」。

その人は私と同じクラスで、亀井さんと――今では私と同じ、交通委員をしている。


名前を、神野 斗真(カンノ トウマ)という。


神野くんと言ったら、それはもう王子みたいなナリをしていて……。


黒い髪に整った顔のパーツ。手足は、モデルみたいに長くて。

目付きは鋭いくせにサマになるから、視線を合わせた女子は、みんな神野くんの虜になっていく。


だから、王子。


でも……、私は違う。



「(私は、その王子が苦手なの……)」



私から見た神野くんは王子様なんかじゃなくて、ビシバシ物を言う「キツい人」。

そんなキツい神野くんの前に出る勇気はなくて、今まで鉢合わないように、必死に避けて生活してきた。


それなのに……

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