この結婚が間違っているとわかってる

「うん、美味い!」

ハンバーグを口にした拓海がにこりと微笑む。

「小花は料理が上手だな」
「そ、そうかな」

拓海に手料理を食べてもらうのは初めてだ。褒められてうれしいはずなのに心から喜べないのは、小花がすべてひとりで作ったわけではないから。

教えるだけでなにも手を出さないと言っていた伊織だけど、手際が悪い小花を見兼ねたのか途中から手伝ってくれた。それでも拓海はここに並んでいる料理はすべて小花が作ったと思っている。

このまま黙っていてもいいのだろうか。それとも正直に打ち明けるべきだろうか。

「実はこの料理、伊織と一緒に作ったの」

迷った末、小花は真実を告げることにした。

拓海には嘘をつきたくなかったし、わざわざ時間を割いて手伝ってもらったのにすべて小花が作ったように振る舞うのは伊織に申し訳ないと思ったから。

「たしかにこのソースは伊織の味だな」

伊織の手料理を食べていた拓海には覚えのある味だったようだ。
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