この結婚が間違っているとわかってる
「あいつは昔から料理が上手だからな」
「だよね。自分でお弁当作るくらいだもん」
「小花の分もな」
「え?」
拓海の言葉を聞いて、小花はスープを飲む手を止めた。
「どういうこと?」
伊織にお弁当を作ってもらった記憶が小花にはない。毎日のようにお弁当のおかずをつまみ食いさせてもらってはいたけれど。
「高校生の頃の伊織の弁当、一人分にしては大きいしおかずもたくさん入ってただろ。あれは小花も食べるからって伊織がいつも多めに作ってたんだよ」
「そうだったの?」
確かにひとり分のお弁当にしてはいつも量が多いと思っていた。伊織が自分で全部食べるために作ってきたのだと思ったけれど、まさか小花の分だったなんて。
お前なんかに食わせるかと、不機嫌そうにしていたのに。
高校時代のお弁当の真実を知った小花はさっそく伊織に真意を確かめたいと思った。けれど、「これ内緒な」と拓海に口止めされたので言えなくなってしまった。