ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
 こんな時にも私の誕生日のことまで考えてくれる皆は本当に優しい。

「気持ちだけで十分よ。伯母さんだってつらいだろうから、無理しないでね」

 伯母は自分の父親が亡くなったのだ。気丈に振る舞っていても、こたえているに決まっている。

 彼女は気が緩んだのか、少しだけ泣きそうな顔になって「ありがとう」と言った。

 凛くんも申し訳なさそうに微笑んで、私の頭にぽんと手を置く。

「明後日には帰ってくるから、そしたらひと足遅れのパーティーをやろうな。依都が好きなケーキ買ってきてやる」

 子供みたいな扱いだけれど、彼の心遣いも温かくて胸がじんとする。数年前までは、誕生日なんて嬉しくもなかったのに。

 ──しいじは毎年花が贈られてくるくらい愛されている。一方私は、親からの愛情を十分に与えてもらえないまま育った。

 伯父の弟である父は、私が二歳の時に事故で亡くなった。シングルマザーとなった母は、私を育てることを放棄して四歳の頃に家を出ていってしまったのだ。

 それからは同じ新潟にいた母方の祖父母が面倒を見てくれて、高校卒業と同時に東京へ上京。そのまま地元にいようかと考えたものの、本当は東京へ行きたいという私の本音を見抜いていた祖父が送り出してくれたのだった。

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