ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
 こちらで暮らしている伯父たちが『家においで』と言ってくれて、専門学校時代は居候させてもらっていた。いつまでもお世話になるわけにはいかないと、成人したのを機にひとり暮らしを始め、今に至る。

 人に恵まれたと感じているが、幼少期の日々はあまり思い出したくない。

 母は、父を亡くして心身ともに負担が大きかったのだろう。今ではそう理解できるけれど、幼少期にそんな風に割り切れるわけもなく、彼女への恨みにも似た感情をずっと抱いてきた。

 母と楽しく誕生日を過ごした記憶はないし、自分が生まれた日をめでたいとも思えない。でも伯父夫婦や凛くんと一緒にいるようになってから、生まれてきてよかったと感じる瞬間が増えた。

「誕生日なんてどうでもよかったんだけど、皆のおかげで今日がいい日だって思えるようになった。いつもありがとう」

 照れ臭いけれど、感謝の気持ちを口にしてみた。私の事情を知っている三人は、少しだけ神妙な表情になった後、それを崩して柔らかく微笑む。

「改まって言われるとこそばゆいなぁ。娘ができたみたいだ」
「そうね。依都ちゃんは私たちにとって娘同然よ」

 お茶目で気のいい伯父と、朗らかで優しい伯母。ふたりは私にとっても両親同然だ。

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