ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
「笑い事じゃありませんよ。私にとっては──」

 文句を言うつもりが、ぐっと腰を引き寄せられ、あっという間に唇を塞がれた。結局キスされてしまい、鼻にかかった甘い声しか出なくなる。

 ああ、ダメだ。このまま続けていたいけれど、気持ちよさでどうでもよくなってしまう前にやめなきゃ……!

「んっ、ふ……っもう、史悠さん!」
「悪い、可愛くてつい」

 なんとか胸を押して中断させると、彼はいたずらっぽく口角を上げた。

「俺のことで依都が嫉妬してるの初めてだから」

 嬉しそうに言うものだから、イラついていたのに恥ずかしくなってくる。すごく些細なことでヤキモチを妬いて子供っぽいだろうに、可愛いって言ってくれるんだな。

「昼間言ってた話ってそれ?」と確認されてこくりと頷くと、史悠さんは納得した様子で説明する。

「最初に会った時、あの人から頼まれたんだよ。一緒に仕事する人とは距離を縮めるために名前で呼んでもらってるから、俺たちにもそうしてほしいって。波多野も名前で呼んでる」
「そうだったんですか……」
「彼女は海外でも活動してるし、呼び捨ては単にラクだからじゃないか」

 なら、まだいいのか。風柳さんには他意がありそうだけど。

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