ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
 というか、仕事の打ち合わせで初めて会った時から、特別優しくした覚えもない。それなのに、なぜこんなに俺を手に入れようとしているのかが謎だ。

「私に執着する理由はなんですか? 結婚している男より、もっとあなたに相応しくて容易に手に入れられる人はいるでしょう」
「簡単かどうかは問題じゃない。私と、楽が欲しいと思った人はあなたしかいないの」

 彼女はぶれることなく、力強い眼差しを俺に向けてくる。

「最初に会った時、わがままばっかり言う楽を叱ってくれたでしょう。『我慢するのも大事だ。なにかをしてもらうことだけじゃなく、相手がどう思うかも考えろ』って」

 そう、最初の打ち合わせでも楽くんを連れてきていたのだが、この飲み物は嫌だの工場のほうへ行きたいだのと、かなり騒いでいて仕事の話をするどころではなかった。つい常識というものを教えてやりたくなり、口を出してしまったわけだ。

「そうでしたね。あなた方には嫌われたものだとばかり」
「逆よ。楽も、嫌うどころかカッコいい!って思ったみたい。史悠に注意されてから、気に入らないことがあっても文句を言わなくなってきたのよ」

 俺の説教にそんな効果があったとは。内心驚いていると、風柳さんは黙々と絵を描いているわが子に目を向ける。

< 199 / 249 >

この作品をシェア

pagetop