ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
「しかし妻だけは、初めて出会った時から、私自身ですら気づいていない優しい部分を見つけてくれました。誰かを尊び、愛する感情を呼び起してくれたのも彼女です」

 依都の瞳が、ゆっくり大きく見開く。

「つまり、私は生涯妻しか愛せないということです」

 シンプルに偽りのない想いを届けると、見つめ合ったままの彼女の瞳が揺れ、潤んで輝くのがわかった。

 こうして皆の前で宣言したのは、少しでも彼女の不安をなくしたかっただけではない。なにがあっても俺の気持ちは変わらないことを、風柳さんに、皆に知らしめたかった。

「風柳さんのイラストには、そんな風に誰かを愛する気持ちを思い出させてくれる、温かな魅力があると思います。私たちも真心を込めて日本酒を造り上げていきますので、大切な人を想いながら嗜んでいただきたいですね」

 いつの間にか会場はしんと静まり返っていて、皆一様に真顔で耳を傾けている。俺が話し終えると、それが感動したような様子に変わって温かな拍手が湧き起こった。

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