ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
 再びこちらに寄ってくる彼に、かすかな恐怖を感じて身体が強張る。

「これは、俺がずっと手間暇かけて作った酒なんだぞ? 俺の苦労もなにもかもわからないあんたが、偉そうなこと言ってんじゃねぇよ。この店で働けなくしてやろうか? あぁ?」

 いよいよ男性の声が大きくなってきて、ビクッと肩を震わせた、その時。

「おい」と怒気を含んだ低い声が聞こえ、コツコツと革靴の小気味いい音を鳴らして階段からまた別の男性がやってきた。

 高級そうなスーツに身を包んだ、すらりと背の高い三十歳くらいの人。長めの前髪を斜めに流し、サイドを耳にかけたヘアスタイルはセクシーさがある。

 軽蔑するように男を見上げる目は鋭いのに美しく、鼻筋も唇もすべてのパーツが整っていて、目を見張るほどの顔立ちだ。

 片手をポケットに入れた気だるげな姿も絵になる彼は、悠々と男のそばに来て冷淡な声を投げつける。

「恫喝に脅迫。見るに堪えない恥をさらしている自覚はないのか? サツを呼ばれる前にとっとと失せろ」

 え、どこかの組の人!?

 若頭に見えてきそうなほどの威圧感と言葉遣いで、私のほうが萎縮してしまう。睨みつける顔すらも綺麗で、ものすごく迫力がある。

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