ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
数日後、祖父から母の連絡先を聞き、まず史悠さんが電話をしてくれた。いきなり私がコンタクトを取るより、彼のほうが母も話しやすいだろうと考慮して。
祖父が伝えておいてくれたおかげで、母もちゃんと電話に出て、複雑な心境を語ったらしい。
『今さら依都の姿を見たいなんて願うのは、勝手すぎるでしょう。私はすべて祖父母に任せ、あの子を捨てて逃げた最低の母親なんですから。合わせる顔がありません』
懺悔するようにそう言った母に、史悠さんは『依都はあなたと会うことを望んでいます。せっかく訪れた機会なのに、また逃げてもいいのですか』と冷静に告げたそう。母に対しても厳しいのが彼らしい。
会ってどうなるかは予想できないし、今さら親子として接することができるのかもわからない。
ただ、いつか史悠さんが言っていたように、私は自分が抱えてきたものをすべて伝えようと思う。
二月の下旬、道路の雪の影響を考えて、私たちは新幹線で新潟駅にやってきた。新潟市まで来ると比較的雪は少なく、大きな商業施設もあるので人が多い。
待ち合わせしているのは、母から提案された駅前にあるレトロな喫茶店。コーヒーのほろ苦い香りが漂う、薄暗く落ち着いた雰囲気で、ボックス席もあるので話しやすそうだ。