ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
 母は洟をすすり、自嘲気味の笑みをわずかに浮かべた。

 つまり、凛くんたちは母の意思を汲み取って、ずっと私に内緒にしていたのだ。私が母への憎しみを抱いていたのも知っているし、言いたくても言えなかっただろう。

 この事実を聞いて穏やかな気持ちでいられるのはきっと、大きな愛で支えてくれる人が隣にいるからだ。彼がいなかったら、今さらそんなことをされても迷惑だと腐っていたかもしれない。

「毎年届けられる花を見て、同じ日にしいじはこんなに愛されてるのに、私は……ってひがんだりもした。でも、忘れられていたわけじゃないんだとわかって、嬉しかった」

 私の反応が意外だったのか、母が信じられないような顔で目線を上げる。

「許す許さないの前に、もっと大事なことがあった。今、私が大好きな人に囲まれて幸せに生きていられるのは、お母さんに生んでもらえたおかげだから」

 母を見つめ、「ありがとう」と伝えた。すごく恥ずかしくてむず痒いけれど、心が温まっていく感じがする。

 彼女は再び瞳を潤ませ、堪えきれなくなった大粒の雫がぽろぽろと落ちる。

< 236 / 249 >

この作品をシェア

pagetop