ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
 一難が去ってほっと胸を撫で下ろす私の隣で、男性もひとつ息を吐き、スマホをポケットにしまって言う。

「チョロいもんだな。ただスマホを見せただけなのに」
「なにも撮ったりしていなかったんですか」
「そんなことしなくても、あれくらい黙らせられる」

 朝飯前だと言わんばかりの余裕さを、単純にカッコいいと思ってしまう。

 なんの仕事をしているのか気になるが、ひとまずお礼をしなければと、きちんと向き直って深く頭を下げる。

「助けてくださってありがとうございました! お食事をされにいらしたんですよね? すみません、急きょ休みになってしまって」
「ああ……また来るよ。でも、俺がここに来たのは君に会いたかったからでもある」

 目を見て〝会いたかった〟などと言われて少々ドキッとするも、一体なぜなのか気になって首をかしげる。

「花菱依都さん、だよな? 君の噂を聞いた」

 彼の口から出たひと言にギョッとした。フルネームまで知っているし、さっきの人と同じく誤解されていたらたまったもんじゃないと、慌てて訂正する。

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