ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
「勘違いしないでくださいね!? 私、枕営業なんてしていませんから!」

 つい大きな声を出してしまい、男性がやや驚いて目を丸くした。直後、階段からまたお客様らしき男女が上がってこようとしているのに気づいてはっとする。

 今の、聞かれた!?と焦りつつ、今日は休業だと伝えて丁寧に謝る。あたふたする滑稽な私を見ていた彼は、ぷっと噴き出した。

 あ……笑った。初めて見た気を許した表情に、胸がきゅんと小さく鳴る。

 彼はわずかに口角を上げたまま、先ほどとは違う穏やかな声で言う。

「わかってるよ。頼んだ料理に合う酒を提供してくれるんだろう」
「その通りです!」

 よかった、この人にはちゃんと正しく伝わっているみたいだ。きっとさっきの酔っ払いさんがレアケースだったのよね。

 過剰反応してしまったのが恥ずかしく、「すみません、さっきの男の人には勘違いされていたもので……」と苦笑を漏らした。

 事の経緯を軽く説明すると、彼は再び軽蔑するような目をして吐き捨てる。

「あいつは君が商社の社長にでも取り入ってるんじゃないかと思って、それにあやかろうとしたってことか。クズだな。もっとシメておけばよかったか」

 やっぱり怖いな……めちゃくちゃ煙草が似合いそう。

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