ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
 コースを頼めるのは予約のみなので、飛び込みで来た私たちはいくつかのアテを単品で選んだ。

 この料理が気になるけれどお値段が……と、遠慮する私にも御鏡さんは気づいたようで、さりげなくそれを頼んでくれていた。気遣いもできる彼は、絶対にモテるに違いない。

 私が気になったメニューのひとつは伊勢海老の炙り。

 殻ごと豪快にふたつに割り、海老味噌がぐつぐつになるまで焼いたそれは、バーナーで炙られてさらにいい香りがする。きゅっと締まった身の上にクリーミーな味噌がたっぷり乗っていて、口に含んだ瞬間贅沢な風味が一杯に広がった。

 とても美味しく、飛高酒造のお酒との相性も抜群で舌鼓を打っているのだが、私たちは気がつくと御鏡酒造の話をしている。

「この伊勢海老の炙りに合うのは、御鏡酒造の酒ならやっぱり〝ひやおろし〟か」
「私もそう思います。海老味噌がまったりとしていて旨味が強いので、同じように濃厚なコクが楽しめるお酒がぴったりですね」

 ひやおろしとは、冬場に造られた日本酒を寝かせて秋に出荷するもの。半年間ほど熟成させるので飲み口はよりまろやかに、味わいも深くなっていて、きのこやさつまいもなどを使った秋の料理にもよく合う。

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