ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
「申し訳ないが承諾するつもりはねぇよ。俺はこの歳で、手伝いの連中も中年ばっかだし、続けられる保証ができん。突然やっぱりダメだってなったら、あんたらも困らせることになんだろ」

 諭すように言う彼は、やはり今後を懸念してほぼ諦めているようだ。ならばと、俺だからこそできる提案をする。

「花菱さんのお考えは理解しているつもりです。それを踏まえての相談なのですが、確実に米作りを続けられるよう、私のほうから社員を送るのはいかがでしょう?」

 そう切り出すと、花菱さんがぴくりと反応を示す。

「都会で暮らしていると、自然に囲まれた田舎の生活が魅力的に感じるものです。私のもとで働く社員の中にも、農業に興味を持っている若者が何人もいます。彼らを派遣する形で、花菱さんのお手伝いをさせていただけませんか」

 社員と話をしていると、わりと農業をしてみたいという声が聞こえてくる。スローライフに憧れる者も多いし、酒米作りの企画を立てればきっと乗ってくれる人がいるはずだ。

「彼らの給料はもちろんこちらが出しますし、住む場所も手配します。花菱さんには彼らの先生となってご指導していただく必要がありますが、これでもし本格的に農業をやりたい人が出てくれば、私はそれを後押ししたいと思っています」

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